コーヒーと腸活の関係は?
コーヒーを飲むと便通が良くなるという経験は、多くの人が持っているのではないでしょうか。しかし、なぜコーヒーが便秘解消に効果があるのか、その理由については意外と知られていません。この記事では、コーヒーが腸活に良い理由を科学的根拠とともに解説し、腸活に役立つコーヒーの飲み方をご紹介します。
日本人の約4人に1人が便秘に悩まされているといわれており、便秘は生活習慣病の一つと言えるでしょう。便秘が続くと、体への悪影響は計り知れません。消化不良、栄養不足、痔などの症状が出る他、ストレスや睡眠障害、集中力の低下などにもつながります。重症化すれば、大腸がんのリスクも高まるため、便秘対策は健康維持に欠かせません。
一方で、コーヒーには健康に良いとされる様々な効果があることが知られています。コーヒーを飲むと、気分転換になったり、気分が明るくなったり、集中力が増したりと、多くの人がその効用を実感しているはずです。そして、便通改善作用もコーヒーの大きな魅力の一つです。便通がよくなれば、不快な症状から解放されるだけでなく、コーヒーを飲む喜びも味わえるため、一石二鳥の健康ドリンクと言えるでしょう。
コーヒーが腸活に良い理由と、おすすめの飲み方を詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。適度な量を飲めば、快適な毎日を過ごせるかもしれません。
コーヒーが腸活に良い3つの理由
1. カフェインが胃腸の動きを活発化
コーヒーに含まれるカフェインには、胃腸運動を活発化させる働きがあります。カフェインは胃酸の分泌を促進し、小腸の運動も活発にします。その結果、食べ物の消化と吸収が円滑になり、さらには腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が活発化して便通が改善されるのです。
アメリカのジョージア大学の研究でも、コーヒーに含まれるカフェインが便通を良くすることが実証されています。コーヒーを飲んだ後、大腸の収縮が強まり、排便時の腸管内圧も上がることが確認されたそうです。さらに、カフェインは胆汁の分泌も促進するため、食事の消化を助ける働きもあります。
カフェインの量が多すぎると、逆に下痢を引き起こす可能性もありますが、適量であれば腸の動きを整える効果が期待できます。一般的に、1日あたり400mg未満のカフェイン摂取であれば、問題ないとされています。コーヒー1杯(約200ml)のカフェイン量は90mgほどなので、コーヒーを適度に飲むことが肝心です。
2. クロロゲン酸の働きで腸内環境を改善
コーヒーに含まれるクロロゲン酸は、強い抗酸化作用を持つポリフェノールの一種です。クロロゲン酸には腸内環境を整える働きがあり、善玉菌の増殖を助けて有害な菌を抑制します。その結果、腸内の常在菌のバランスが保たれ、便秘の改善につながります。
特にコーヒー生豆の外皮に多く含まれるクロロゲン酸は、腸内で発酵されやすいため腸内環境に良い影響を与えると考えられています。また、クロロゲン酸には消化酵素の働きを助ける効果もあり、食べ物の消化吸収を円滑にする可能性も指摘されています。
クロロゲン酸は熱に弱い成分なので、できるだけ低温で抽出したコーヒーを飲むことをおすすめします。インスタントコーヒーよりも、ドリップ方式の淹れたてのレギュラーコーヒーを飲むと、クロロゲン酸をより多く摂取できます。
3. コーヒーオリゴ糖が善玉菌を増やす
コーヒー豆の搾りかすから精製されたコーヒーオリゴ糖は、善玉菌のエサとなる機能性オリゴ糖です。普通のコーヒーにも含まれていますが、量は微量です。しかし、コーヒーオリゴ糖を意識的に摂取することで、善玉菌が増え、腸内環境が改善されます。
コーヒーオリゴ糖は、大腸まで到達すると、ビフィズス菌などの有用菌の餌となって増殖を促します。便秘対策のほか、免疫力アップや肥満予防など、様々な健康維持効果が期待できます。最近では機能性を高めた特別なコーヒーも販売されるようになりました。
オリゴ糖は人間の消化酵素では分解されないため、コーヒーオリゴ糖を補給しても、カロリーにはなりません。腸内環境を整える上で、理想的な栄養素と言えるでしょう。酵素で分解されにくいため、オリゴ糖の持つ甘みは人工甘味料よりもマイルドですが、コーヒーの苦味を自然に和らげる働きもあります。
コーヒーオリゴ糖は、大手コーヒーメーカーでも研究が進められており、近い将来、より手軽に摂取できるようになると期待されています。健康と美容の両面から注目の成分といえるでしょう。
腸活におすすめの「バターコーヒー」の作り方
材料
バターコーヒーは、通常のコーヒーにバターと MCT オイルを加えた飲み物です。腸活効果を最大限に高めるためには、下記の材料を用意しましょう。
・ブラックコーヒー 200ml
・グラスフェッドバター 15g
・MCT オイル 15g
グラスフェッドバターとは、放し飼いされた牛から採れた高級バターのことです。一般的なバターに比べ、オメガ3脂肪酸や抗酸化成分が豊富に含まれています。バターの風味が穏やかなので、コーヒーの味を損なうこともありません。
MCT オイルは中鎖脂肪酸のみから作られた植物性オイルで、体内でスムーズに吸収・代謝されます。ココナッツオイルでも代用できますが、味が強めなので注意が必要です。
作り方
1. カップにブラックコーヒーの半量(100ml)とグラスフェッドバター、MCTオイルを入れる。
2. ミルクフォーマーや密閉できる容器で混ぜ合わせ、よく泡立てる。
3. 残りのブラックコーヒーを注ぎ、スプーンでかき混ぜる。
4. 出来上がり。お好みでココナッツオイルやシナモンなどを加えても良い。
バターコーヒーにすることで、カフェインの吸収が遅くなり持続時間が長くなるメリットがあります。MCTオイルは速攻性の燃料になり、バターの脂肪は長時間の満腹感を保ってくれます。
また、優れた腸内環境改善効果も期待できます。バターからは乳酸菌が、MCTオイルは腸内環境に優しい中鎖脂肪酸を提供します。グラスフェッドバターには抗酸化力のあるビタミンAやビタミンEなども含まれているので、腸の健康サポートにうってつけの一品と言えるでしょう。
おすすめのコーヒーの飲み方
1. 朝食後に飲む
コーヒーを一番おすすめする飲み時間は、朝食後です。朝起きてから1時間以内が、人間の腸の動きが最も活発になる時間帯だと言われています。この時間にコーヒーを飲めば、腸の蠕動運動がさらに活発になり、排便を促す効果が期待できます。
空腹時にコーヒーを飲むと、胃酸の分泌が過剰になり胃痛や胸やけなどの症状が出る可能性があります。ですので、腸活のためのコーヒー飲用は必ず食後がおすすめです。特に繊維質の多い朝食を済ませた後なら、より腸内環境が整った状態でコーヒーを飲めますね。
2. レギュラーコーヒーを選ぶ
インスタントコーヒーよりも、豆から淹れたレギュラーコーヒーを選ぶことをおすすめします。レギュラーコーヒーには、腸活に役立つ様々な成分がよりたくさん含まれているからです。
レギュラーコーヒーには、腸内環境を整えるクロロゲン酸やコーヒーオリゴ糖の含有量が高いことが分かっています。さらに、飲み方次第では、コーヒーに含まれるカフェインの効果的な摂取も可能になります。一方のインスタントコーヒーは、製造工程で熱に遭う機会が多く、これらの有効成分が失われがちだと言えます。
3. ミルクを入れる
コーヒーにミルクを入れることで、便通改善効果が高まります。ミルクに含まれる乳糖が追加され、腸の蠕動運動がよりいっそう促進されるためです。当院の腸内洗浄クリニックにも、「朝はカフェオレを飲むと便通がよくなる」と実感されている患者さんが多くいらっしゃいます。
ミルクを入れるだけで腸の動きが活発になり、コーヒーの便秘解消作用が高まるというわけですね。さらに飲みやすくなって便利という利点もあります。ただし、乳製品がお腹にあまり合わない人は控えめにした方がよいかもしれません。
4. 1日4~5杯を目安に
腸活のためのコーヒー摂取量としては、1日4杯から5杯程度が目安となります。コーヒーにはカフェインが含まれるため、これ以上飲み過ぎると身体に悪影響が出る可能性があるためです。
カフェインの1日適正摂取量は400mg未満と言われており、コーヒー1杯200mlあたりにカフェイン90mgが含まれています。したがって、1日で4杯から5杯が安全な上限と考えられます。これ以上の摂り過ぎは、カフェイン中毒の症状である頭痛や不眠、下痢などを引き起こしかねません。
朝食後、昼食後、夕食後の3回に分けて飲むのが理想的です。夜遅くにコーヒーを飲むと、カフェインの作用で睡眠の質が下がる可能性がありますので、午後6時以降は控えめがよいでしょう。
まとめ
コーヒーには腸活に役立つ成分がたくさん含まれています。カフェインが胃腸運動を活発化させ、クロロゲン酸が腸内環境を改善し、コーヒーオリゴ糖が善玉菌の増殖を促すことで、便秘解消に役立ちます。
特におすすめなのが「バターコーヒー」です。コーヒーにグラスフェッドバターとMCTオイルを加えることで、MCTオイルやコーヒーオリゴ糖の働きで便秘解消が一層効果的になります。バターの脂肪は満腹感を長く持続させ、体内でMCTオイルは速攻性の燃料となるため、集中力の維持にも役立ちます。
朝食後、昼食後、夕食後の3回にコーヒーを分けて飲むのが理想的です。特に朝食後1時間以内に飲めば、腸の動きが最も活発な時間帯に作用するので便秘解消に効果的です。ミルクを入れると便通改善効果が高まるので、カフェオレを作るのがおすすめです。
豆から淹れたレギュラーコーヒーを選び、1日の摂取量は4~5杯を目安にしましょう。加熱によりコーヒーの有効成分が失われがちなインスタントコーヒーは避け、レギュラーコーヒーをしっかりと味わうことが腸活のコツです。