目を温めることは、古くから目の疲れを和らげる方法として知られています。近年では、緑内障の予防にも効果があるのではないかと注目を集めています。しかし、その実態は明確になっていません。本記事では、目を温めることのメリットと適切な方法について、医師の専門的な見解を踏まえながら解説していきます。
目の健康を守るためには、適切な方法で目を温めることが重要です。温め過ぎや誤った方法では、かえって目に悪影響を及ぼす可能性があります。目を温めることの本当の効果と注意点をしっかり理解し、上手に活用することが大切なのです。
目を温めるメリット
血行促進で目の疲れを軽減
目を温めることで、まず期待できるのが血行の促進です。目の周りの血管が広がり、新鮮な血液の供給が活発になります。これにより、目の疲れを取り除く効果が得られるとされています。
現代人の多くが、長時間にわたってパソコンやスマートフォンを使う生活習慣を持っています。目を酷使すると、目の筋肉が緊張し続けてしまい、血行不良を引き起こします。この血行不良が目の疲れの原因となります。目を温めることで血行を促進させ、筋肉の緊張をほぐすことができるのです。
専門医のアドバイスでは、「目の疲れは深刻な問題です。目を酷使する現代社会において、目を温めることは目の疲れ予防に効果的な方法の一つといえるでしょう」と語っています。
目薬の効き目アップ
また、目を温めることで目薬の効き目が上がることも分かっています。多くの目薬は、油脂性の成分を含んでいます。目を温めることで、この油脂成分が溶けやすくなり、目薬の浸透が良くなるのです。
緑内障の治療では、点眼薬が不可欠です。しかし、点眼薬が目に十分に浸透しないと、治療効果が得られません。目を温めることで点眼薬の浸透を高め、緑内障治療の効果を最大限に発揮させることができます。
リラックス効果でストレス軽減
さらに、目を温めることにはリラックス効果もあり、ストレスの軽減にもつながります。温熱刺激によって自律神経のバランスが整え、心身ともにリラックスした状態になれるのです。
ストレスが溜まると、緑内障のリスクが高まるといわれています。ストレスによって眼圧が上がり、視神経が圧迫されやすくなるためです。目を温めることで、ストレスを解消し、緑内障の予防につながる可能性があります。
専門医のアドバイスでは、「目を温めることによるリラックス効果は、さまざまな眼疾患のリスクを下げる上で重要です。高ストレス社会におけるセルフケアの一つとして、目を温める習慣をつけることをお勧めします」と話しています。
注意点
感染症や手術直後は控える
目を温める際には、目の状態に十分注意を払う必要があります。感染症にかかっている時や、目の手術を受けたばかりの時は、目を温めることは控えるべきです。
目に感染症がある場合、温めることで炎症が悪化する可能性があります。細菌やウイルスの活動が活発になり、目の状態が一層悪化してしまうからです。目の手術直後は、温めることで創傷部の過度な血行促進が起こり、傷口が癒合しにくくなる恐れもあります。
専門医は、「感染症や手術直後は絶対に目を温めるべきではありません。症状が悪化するリスクが高まります。医師に相談の上、十分注意して取り組む必要があります」と指摘しています。
やり過ぎに注意
目を温めるうえでの最大のポイントは、やり過ぎに注意することです。温めすぎると、かえって目に悪影響を及ぼしてしまいます。
目を温めすぎると、目の組織が傷つきやすくなります。温度が高すぎたり、温める時間が長すぎたりすると、目の細胞が破壊されてしまうのです。また、強すぎる刺激で目の免疫力が低下する可能性もあります。
適切な温度と時間を守ることが肝心です。専門医は、「目を温める際は40度前後の低温で、1回5分以内が目安です。温めすぎには十分気をつける必要があります」と助言しています。
正しい温め方
専用グッズの紹介
目を適切に温めるには、専用のグッズを使うのが確実です。最近ではさまざまな目温め器具が市販されており、安全に温められるよう温度管理がされています。
代表的な目温め器具には、スチーマー型のものとホットアイマスク型のものがあります。スチーマー型は目元に温風を送り込む仕組みで、ホットアイマスク型は電熱線を内蔵し、温めた布でマッサージするタイプです。扱いやすさやコストなどで選べば良いでしょう。
専門医は、「市販の温め器具は温度設定や自動オフ機能がついているものが多く、一般の方にも安全に使っていただけます。自分に合ったタイプを見つければ、手軽に目を温めることができますよ」とアドバイスしています。
手軽な方法も
温め器具を購入するのが面倒な場合は、身近な物を使って手軽に目を温めるのも一つの方法です。タオルやホットパックを利用する方法がおすすめです。
タオルを使う場合は、ぬるま湯で濡らしてから軽く絞り、レンジで温めます。温かすぎないようにするためレンジ加熱は40秒程度が目安です。温めたタオルを目の上に5分ほどあてがいます。
ホットパックなら、レトルト食品などの比較的低温のものを使うと良いでしょう。温度が高すぎると危険なので、注意が必要です。パックをタオルなどで包んでから目の上に載せると安全です。
最後に
目を温めることには、血行促進や目薬の効き目アップ、リラックス効果など、さまざまなメリットがあることが分かりました。ただし、感染症や手術直後は控え、やり過ぎには十分気をつける必要があります。
専用の温め器具を使えば、安全に適切な温度で目を温めることができます。器具の手に入らない場合でも、タオルやホットパックを利用すれば手軽に目を温められます。正しい方法で行えば、目を温めることは緑内障の予防に役立つでしょう。
ストレスの多い現代社会では、目の健康維持が欠かせません。セルフケアの一環として、目を温める習慣をつけてみてはいかがでしょうか。
