はじめに
呼吸がヒューヒューという異常な音がすることがあります。多くの場合、一時的なものでさほど心配する必要はありませんが、中には深刻な病気が潜んでいる可能性もあり、軽視できる症状ではありません。
本記事では、そのヒューヒューという呼吸音がでる6つの主な原因について解説するとともに、自分自身や家族で簡単に判別できる方法もお伝えします。知っておくことで、適切な対処ができるようになりますので、ぜひ最後までご一読ください。
喘息、肺気腫、心不全などの病気は、命に関わる危険な状態に陥る可能性があります。しかし、早期発見と適切な治療を受ければ、その多くは重症化を防げます。呼吸がヒューヒューなる理由と対処法を知っておくことは、健康的な生活を送る上で非常に重要なのです。
自身や家族に異常な呼吸音がある場合、すぐに医療機関を受診することをおすすめしますが、症状の緊急性を見極める参考にしていただきたく、本記事を作成しました。不安な症状や気になることがあれば、ためらわずに医師に相談するのが一番です。
それでは、ヒューヒューという呼吸音の原因と、それらを判別する簡単な方法をご紹介していきましょう。早期発見と適切な対処は、健康的な生活を送る上で重要なカギとなります。
呼吸がヒューヒューなる6つの原因
たんやガスが詰まっている一時的な原因
呼吸がヒューヒューなる一番の原因は、気道内にたんやガスが一時的に詰まっていることです。風邪をひいた際に出るたんや、食事の後に胃からガスが逆流して気道に入り込むことで、一時的にヒューヒューという異常な呼吸音が発生します。
特に子供の場合は、気道が細く未発達なため、たんやガスで気道が詰まりやすくなります。子供の喘鳴(ゼーゼー)は、多くがこの一時的な原因によるものです。成人でも同様に、風邪の際にたんが絡んでヒューヒューなる呼吸になることがよくあります。
この一時的な呼吸音は、たんやガスが排出されれば音も消えていきます。一般的な風邪症状の範疇内と考えられますが、音が長期に続く場合は要注意です。数日経ってもヒューヒューした呼吸が続けば、別の原因があると考えられます。
持続する危険な5つの原因
一時的なものとは異なり、持続的にヒューヒューという呼吸音がある場合は、重大な病気の可能性があります。特に注意が必要な持続的な原因として以下の5つの病気が挙げられます。
喘息
喘息は代表的な持続性の呼吸器疾患で、気管支の炎症によりゼーゼーゼーという高音のヒューヒューした呼吸音がでます。気管支が狭くなった状態が続き、気道が細くなることでヒューヒュー音が発生するのです。
喘息は発作的に重症化すると命に関わる恐れもあり、適切な治療と管理が重要です。喘息発作時は吸入治療などの緊急処置が必要不可欠となります。また、発作の有無に関わらず、気管支の炎症を抑える薬物治療を継続する必要があります。
肺気腫
肺気腫は長年の喫煙が主な原因で、肺の組織が壊れて空気を排出できなくなり、空気が溜まって肺が膨らんだ状態になる病気です。この状態で気管支が潰れて狭くなり、ヒューヒューした呼吸音が発生します。
最初は軽い呼吸音から始まりますが、次第に重症化すると常時ヒューヒューなり、酸素吸入が必要になります。喫煙を継続すれば肺がんにもつながりかねず、命に関わる危険な病気です。肺気腫が疑われる場合は、禁煙と適切な治療を受けることが重要になります。
心不全
心不全は心臓のポンプ機能が低下し、血液が肺に溜まることで気管支の壁が浮腫んで気道が狭くなり、ヒューヒューという呼吸音が発生する病気です。心臓病が原因で起こるため、命に関わる危険な状態といえます。
心不全によるヒューヒュー音は、主に夜間に顕著に現れます。これは体を横にする姿勢で血液がたまりやすいためです。心不全が疑われる場合は、速やかに循環器科の受診が必要不可欠です。利尿剤や酸素療法で症状を和らげることができます。
肺がん
がんが気管や肺に発生して気道が狭くなった場合、ヒューヒューした呼吸音が出る可能性があります。特に進行して気道が圧迫された場合はこの症状が目立ちます。肺がんの危険因子は喫煙が最も大きいため、喫煙者の異常呼吸には十分注意が必要です。
ただし、肺がんの初期では呼吸音の変化は現れにくく、他の症状(せき、痰、体重減少など)から発見されることが多いです。持続的なヒューヒュー音がある場合、単に喫煙による呼吸器疾患とは考えにくく、がん検診を受けることが賢明です。
気道異物
異物が気道に入り込むと、それが原因でヒューヒューした呼吸音が出る場合があります。特に小児の場合はよくある症状です。小さな玩具の部品などを誤飲してしまうと、気管に詰まって呼吸が困難になります。
成人でも気道異物はありえます。食べ物が気管に入ったり、歯が抜けて気管に落ちたりする場合があります。気道異物が疑われる場合、呼吸困難から命に関わる危険があるため、直ちに医療機関を受診する必要があります。
ヒューヒューの呼吸を簡単に見分ける方法
一時的か持続するかで判別
ヒューヒューという異常な呼吸音を見分ける最も簡単な方法は、その持続性を確認することです。一時的に発生し、すぐに音が止まれば心配ない場合がほとんどです。しかし、長期間持続するヒューヒュー音があれば、何らかの深刻な呼吸器疾患や心臓病を疑う必要があります。
たとえば風邪の際に出たたんが一時的に気道を詰まらせてヒューヒューなった場合、そのたんが排出されれば呼吸音は正常に戻ります。これは一過性の症状と判断できます。しかし、数日経ってもヒューヒュー音が続く場合は、喘息や肺気腫、心不全などの持続性疾患を疑わなければなりません。
呼吸音の持続期間を確認する際は、発症からおよそ1週間程度を目安にするとよいでしょう。1週間を超えて異常呼吸音が続く場合は、医師の診断を受けることをお勧めします。
呼吸のタイミングで判別
ヒューヒューした呼吸音が発生するタイミングを確認することで、さらに詳しい原因の特定ができます。具体的には、吸気時(息を吸う時)に発生するのか、呼気時(息を吐く時)に発生するのかを見極める必要があります。
吸気時にヒューヒュー音がする場合は、主に喉頭や気管の異常が原因と考えられます。気管異物や喉頭がんなどを疑う必要があり、緊急での受診が望ましいでしょう。一方、呼気時の異常音は、気管支や肺の異常を示唆しています。喘息発作や肺気腫、心不全が疑われます。
さらに、吸気と呼気の両方でヒューヒューなる場合は、気道全体に何らかの狭窄があることを意味しています。気管支喘息や進行した肺がん、高度な肺気腫や心不全などが考えられます。両方のタイミングで異常音があれば、重症例の可能性が高いといえます。
このように、発生タイミングを意識することで、異常音の出る原因となる部位を特定することができ、適切な対処法の見極めにもつながります。ヒューヒュー音に一定の規則性がある場合は、医師に詳しく説明することが重要です。
まとめ
呼吸がヒューヒューなる異常音は、一時的なものから深刻な病気のサインまで、様々な原因が考えられます。正確な診断のためには医師の診察を受けることが不可欠ですが、自分自身でも適切な対応ができるよう、症状の見分け方を理解しておくことが重要です。
ヒューヒュー音が持続するか一時的かを確認し、さらに吸気時なのか呼気時なのかも見極めることで、およその原因を特定することができます。持続する異常音、特に吸気と呼気の両方でヒューヒュー音がある場合は、重症の病気である可能性が高くなります。
一時的なヒューヒュー音でも数日経ってなおも続く場合は要注意です。喘息、肺気腫、心不全、肺がん、気道異物など、命に関わる深刻な病気を疑う必要があります。こうした危険な呼吸器疾患や心臓病を放置すれば、症状が進行し最悪の事態に陥る可能性もあります。
健康は何よりも大切です。自分自身や家族に、少しでも異常な呼吸音があれば、早めに医療機関で診てもらうことをおすすめします。呼吸がヒューヒューなることは決して軽視できる症状ではありません。適切な初期対応により、多くの病気は重症化を防ぐことができるのです。
